婦人之友が今年、創刊110年を迎えました。羽仁もと子の創刊以来、長い間日本の家庭によい指針を示してきた小さな雑誌です。その愛読者の集まりが公益法人「全国友の会」、私の属する「豊中友の会」も、前にいた「名古屋友の会」も、この頃NHKのアサイチに度々出演している「相模友の会」もその構成団体です。
4月号では「家庭は簡素に社会は豊富に」―2012年に考える―がテーマになっていました。
私は婦人友は30数年前からの読者ですが、「羽仁もと子著作集」からも多くを学んできました。その第9巻「家事家計篇」第一章・家庭経済の出発点と到達点にある「家庭は簡素に社会は豊富に」というところから、今もひきつけられる文章を、以下に抜書きします。
「ぜいたくな生活と貧弱な生活はこれからの生活ではありません。ぜいたくな生活をする人たちが、物資を消費しすぎるために、一方に乏しすぎる暮らしをする人の多くなる社会は、理想の社会ではありません。」
「住んでいる町の道路はどうか、下水はどうか、飲料水はどうか、小学校はどうか、集会所はあるか、公園があるか運動場があるか、商人はよい品物を正当な値段で売っているか、お前たちの愛する国家が借金していないか、国民みなその生計を楽しみ得るまでに充実しているか・・・」
「われわれの小さい家は簡素でありたい。そしてわれわれの住む社会という大きな家庭は、じつに行き届いた豊富なものでありたい。」
昭和2年に一人の女性によって書かれたものです。