箕面方面2月方面会読書、婦人之友2月号「羽仁もと子のことばー刀悲しみ鑿愁う」に引用されていた島崎藤村の詩です。
島崎藤村
「若菜集」より
松島瑞巌寺に遊び葡萄栗鼠の木彫を観て ふなじ ずいがんじ 舟路も遠し瑞巌寺 ふゆしようしよう 冬 逍遥のこゝろなく 古き扉に身をよせて ひ だ たくみ うきぼり 飛騨の名匠の浮彫の 葡萄のかげにきて見れば 菩提の寺の冬の日に かたなかな のみうれ 刀 悲しみ鑿愁ふ ほられて薄き葡萄葉の きねずみ 影にかくるゝ栗鼠よ 姿ばかりは隠すとも のみ か かくすよしなし鑿の香は うしほにひゞく磯寺の かねにこの日の暮るゝとも ゆふやみ 夕闇かけてたゝずめば こひしきやなぞ甚五郎 |