2020/09/21

小から大へ、家庭から社会へ

「小より大へ ― ちいさこと とくにはげめとみたまいう」 

         「わたしの家庭観」―― 羽仁もと子著作集「友への手紙」から  

 豊中友の会、2020年度初めてとなる9月例会は、9月10日(木)Zoomによるオンラインで行われました。当日パソコンやスマホで参加した方は77名、もよりで一緒に集まって参加された方15名、期間限定で配信した録画で視聴した方は12名(9/17現在)で合計、実に104名、50%を超える方が例会に“参加”されました。今までの友の家での出席率を大きく超えました。このオンライン例会が実現するまでに、方面、もよりで多くの方のご協力があったことを、心から感謝いたします。家事家計講習会を初めこれからの集まりのカタチに、大きな希望を与えられました。 

 9月例会の読書「私の家庭観」の中には、私をいつも励ましてくれた言葉があります。 
「力なく哀しき時はちいさ事とくに励めとみ霊いう」、両親たちの介護が続いた時、毎日の慌ただしさ、苦しさの中で励まされ、慰められました。病院の付き添いから帰って、まずパン作りのためにニーダーに材料を入れ、回っている音を聞きながら、「ちいさこと とくにはげめとみたまいう」と呪文のように唱えながら、家事に戻ったものです。私の最寄でも病気のお母さんの介護に加えて、子どもたちとの忙しい日々で、友の会どころではない人がいます。私は祈るような気持で、はがきにこの言葉を書いてお送りすることしかできませんでしたが、言葉は力を持っていると信じています。

 里山の風景が最初に描かれて、人が耕し手を加えてきた田園の懐かしさと同じように家庭の和らぎがあると、そして、その和らぎは、創造主である神さまと、神に導かれている人間の共同作業でつくりあげてきているものだといわれます。そして、家族の一人ひとりが、神の子としてお互いを大切にするという視点から、家庭のあるべき理想像が書かれています。

 最後の方に、「小さい家庭の経営は、この天地のごとくに科学的に合理的に美しく、一つ一つの存在に秩序と連絡がなくてはならない。」私たちが日ごろ励む生活勉強は、きれぎれでない関係性の中にあります。
 「きれぎれでない」という言葉は、羽仁先生の独特の使い方があるように思います。私たちが創られたときから、永遠のいのちに至るまでの長いスパンの中で、よく用いられています。この図は、きれぎれでない生活。乳幼児グループの集まりでの勉強に使われたもので、以前例会で見せていただいた図です。

 私は、この私たちの生活勉強の図に加えたいものがあります。通信技術の発展で急速にIT化が進んでいます。そして安価で用いることができるようになりました。一昔前まで、例会や家計会の前には「表書き」という日程が取られていて、分担して模造紙に線をひいたり墨で書いたりしたものです。集会での発表の技術はどんどん変わり、一つの成果がこのZoomによるオンライン例会となりました。家庭から社会への発信の手段をもっと皆で研究して、私たちの一般的なツールとなればよいと願っています。しかし、デジタル機器を使うことで体調に影響がある方もおられますし、どうしてもついていけないと感じておられる方もたくさんいらっしゃいます。設備の問題もあります。さらに工夫が必要なことは言うまでもありません。皆さんと一緒にもっと考えていきたいと思います。

 私たちの家庭は決して自分だけ、自分の家族のものだけでとどまることはありません。
ちいさ事を励んで、小さいことから大きなことへ、家庭から社会へ、広い視点をもって歩みたいと願っています。

      「豊中友の会会報3号-1面引用」2020.9.17発行